「ジャンパースカート」 B− 120731

長谷川式スケール”1”のYさんは、´回目、

あいまいな微笑みを浮かべて首をかしげるばかりでした。
 

セッション2麑棔

「小学校へは何を着て行ってましたか?」というテーマに、

「着物だった」「洋服だった」「いろんな子がいた」と皆さん口々に答えられます。
 

Aさん「着物の人が多かったけど、私はワンピースでした」

あべ 「Aさんは、おしゃれだったんですね?」

Aさん「ワンピースというか・・・ジャンバースカートですね」

Yさん「ジャンバースカート!」

突然、Yさんが声をあげました。目がキラキラしています。

あべ「Yさんもジャンバースカートを着ていらしたんですね?」
 

あべ 「ところでみなさん、髪型はどんなのでした?」

Hさん「私は、おかっぱでした」

Mさん「”おさげ”のやりかたが分からなくて、お母さんが近所で訊いてきてくれたの」

Nさん「短く切っていました」

Yさん「私も短くしていました」
 

”Yさんがしゃべった!” と心ひそかに喜ぶスタッフたち。

それだけではありません。
 

あべ 「みなさん、楽しいお話をありがとうございました。ではまた来週・・」

Yさん「みなさんのお話を聞いて、私も少し思いだしました。本当にとても楽しかったです」
 

”ジャンバースカート”のひとことをきっかけに、Yさんの記憶がよみがえって、

楽しい時間を過ごしてくだされば、と期待でワクワクしています。


「ホワイトボード」 B− 120724

高次機能障害の女性Nさんは、半可視のため視野が左側しかなく、
言語野の障害もあります。
座席をテーブルの全体が見える右角にとり、コ・リーダーは左側に付きます。
 

感情や思考力が損なわれていないのに、言語が理解しにくい。
それがどういう状態なのか、私には想像ができません。
 

1回目のセッションでは、ほとんど会話は成立しませんでしたが、

優しい方なので周囲に合わせて微笑んでおられました。

今日は2回目のセッション。

「回想法プランニング座間」のハトさんが、コ・リーダーを志望しました。

言葉が分かりにくいなら、絵を使って話を補ってみよう、というのです。
 

ハトさんはA4サイズのホワイトボードに絵や漢字を次々と書いて、

他の人の話を説明したり、Nさんに質問していきます。

Nさんは話している人の顔とホワイトボードを見較べながら

うなづいたり笑ったりしています。
 

セッション後のミーティングでハトさんに

「Nさんは漢字は分かるんですか?」と質問しました。
 

なんと!

漢字は表意文字なので絵と同じように理解できる。

ひらがなは表音文字なので、そのままでは意味を持たず理解できない。
 

漢字文明に拍手!

そしてホワイトボードを思いついたハトさんに拍手です。


「美しい手」 B− 120717

新しい1クールが始まりました。

今回は、記憶のほとんどない方が数名と、視覚障害と難聴のある方、

高次機能障害の方がいらっしゃるので、少々苦労しそうです。
 

そんな中で嬉しかったこと。
 

Hさんが、両手で名札を持ち上げて自己紹介されたのです。
数クール続けて参加されているHさんは、とても綺麗な方ですが、
リュウマチのために曲がってしまった手を、

膝掛けの下にずっと隠していらっしゃいました。
 

控えめな方で「人とお話するのが苦手」とおっしゃっていましたが、

回を重ねるごとに自然に話されるようになり、

それとともに、手を出して花に触れたりされるようになりました。
 

前回のクールの最後にタカ先生が「”茶摘み”の歌の手遊びをしましょう」と誘われると、

「手がこんなだから・・」と言いながらも、嬉しそうに手遊びをされました。
 

初めて会う皆さんにご自分の名前が良く分かるようにと
名札を掲げられたHさんの手は、

「私はここにいます!」と自信を持って言っているように見えたのです。


「一億円の会」 A− 120626

参加者 :Mさん、Sさん、Hさん、Aさん、Fさん

スタッフ:あべ、あお、ふく、他

最終週は、今までを振り返るとともに、これからの夢を語ってもらいます。

ふるさと、遊び、お風呂、裁縫ときて、5週目の遠足の話を思い出します。
 

あべ 「Mさんは遠足で、三原山に行ったと言ってらっしゃいましたね。

    どのくらい歩くんですか?」

Mさん「片道2里くらいかね。きついんだけど勉強しなくていいから嬉しかった。

    勉強は大嫌いだった」

Sさん「わっはっはっは!」

あべ 「Sさん、むちゃくちゃ笑ってますけど」

Sさん「わたしも大っ嫌いだった!」

Hさん「わたしも勉強は好きじゃなかったわ」
 

あべ 「AさんもFさんも笑ってますけど、勉強きらいだったんですか?」

(Aさん、Fさんは言語による表現が困難だが、声を出して笑っている)

あべ 「この状況では、自分だけ『勉強が好きだった』なんて言えませんよねえ」
 

あべ 「最後に皆さんの夢を教えてください。食べたいものなどでもいいですよ」

Hさん「三原山の話を聞いてたら、大島に行ってみたくなりました」

あお 「わたしも行きたいなあ。さざえやあわびもあります?」

Mさん「あるよ。魚も美味しいし、いいところだよ」

ふく 「わたしもみなさんと一緒に行きたいです」

Sさん「いいですね!」

Fさん「パチパチパチ・・(拍手)」
 

あべ 「では全員で大島に旅行に行くのが夢ということで。
    皆さん、そのために貯金してくださいね」

あお 「貯金はムリだから宝くじを当てて・・・」

あべ 「そうだ! 宝くじで一億円当てて大島に行きましょう!」

 全員笑いながら拍手。

あべ 「そういえば会の名前をまだ付けてなかったんですが、『一億円の会』
    というのはどうでしょう? 今までで一番ゴージャスな名前ですよ」

 全員爆笑しながら拍手喝采。

あべ 「では皆さん、一緒に大島へ行く時までお元気で!」
 

実現することのない夢かもしれませんが

「みんなと一緒に旅行に行きたい」と思えるほど楽しい時間を共有できたこと、

ひとつの夢を持てたことこそ、一億円の大当たりです。


「見えないということ」 A−Α120619

目の見えない方のコ・リーダーをする時には、いろいろな配慮が必要です。
 

部屋の中に何人の人がいて、テーブルの上には何の花が飾ってある、

などの説明をします。
 

参加シールはぷっくりふくらんだものにして、

「〇〇の絵のシールですよ」と、分からないまでも指でなぞってもらい、
自分で貼っていただきます。
 

リーダーや他の人が話した時は内容だけではなく

「右に座っている◯◯さんが△△とおっしゃいました」と伝えます。

目が見えないとまわりの様子が分からないので、

自分が話していいのかどうかの判断がつきません。

体に触れながら質問をすると、自分が話す番だと分かられるようです。
 

逆にどこで自分の話を止めればいいかの判断もつかないので

他の人が話そうとしているのにしゃべり続けてしまわれたりします。

自分の言っていることがみんなに伝わっているかどうかが分からないからです。
 

だからコ・リーダーがもう一度大きな声で復唱することで

”みんなに伝えましたよ”というサインを出せば

自然にその方は話を終え、他の人の話を聴こうとなさいます。
 

もし自分の目が見えなければ、

部屋の広さや、そこにいる人数や、顔ぶれが分からないまま話をするのは

とても不安だろうなと思います。
目が見えないということはどういうことかを理解すること、

自分にあって他人に無いものを想像することは、とても難しいのです。


「青梅を食べる」 A− 120612

季節感も回想法にとって大切な道具です。

梅雨の時期ならではの紫陽花と青梅を用意しました。
 

Nさんは高齢のため目が見えなくなっています。

担当コ・リーダーの あべが、Nさんの手に青梅を握らせます。

Nさん「なんだろうね? 何かの実かねえ」

Fさん「梅の花が咲いたあとに出来るものですよ」

Nさん「ああ、梅ね!」
 

梅干しを漬けたという話で盛り上がっていた最中、

FYさんが青梅をかじりそうになりました。
 

あべ 「今、お隣に座ってらっしゃる方が青梅を食べそうになったんです」

Nさん「わたしも食べましたよ。学校に行く途中に木からもいでね。

   たもとに3つほど入れておいて時々かじるのよ」

あべ 「えっ!青梅をですか?」

Nさん「食べましたよ。酸っぱくて、あんまり美味しくはないけどね」
 

青梅は青酸があって毒だと聞いていたので、Nさんの勘違いだと思いました。

ところが調べてみると、青梅の青酸による致死量は200個とか300個とか。

体質によってはお腹をこわす、という程度のものと初めて知りました。
 

「青梅を食べた」という話をみんなの前に出していれば、

「私も食べた」とか「食べたらダメと言われていた」
という話が出たかもしれないのに。

先入観や浅い知識で話を止めてはいけない、と学びました。


「修学旅行?」 まち子 と みつ子 4

みつ子はともだちが多い。
高校時代の同級生とも、いまだに親しくつきあっている。
 

先日も81歳女性4人で ”琵琶湖の桜バスツアー” に参加し、

「しゃべりたりないから」と、梅田のホテルに1泊したらしい。
 

「コンビニでおにぎりとコロッケとビールとおつまみ買って、

せっちゃんの部屋に集まって夜中までしゃべってたの」

と嬉しそうに電話がかかってきた。
 

まるで修学旅行である。
 

「でも、みんなもう身体があちこち悪くなってきたし、

一緒に旅行に来れたの最後かもしれないね、って」


まさに修学旅行である・・



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