その199 「たけのこと木の芽」

春になるとよく たけのこを食べたが

母がどうやって湯がいていたのかは知らない。

 

料理法はいろいろあって

たけのこご飯であるとか

たけのことワカメの煮物とか吸い物とか

味噌を塗ってあぶったり

さきっちょの柔らかい甘皮を 和え物にしたり

料理好きの母は楽しそうに工夫していた。

 

庭には小さな山椒の木があって、

たけのこ料理のときには葉っぱを摘んでくる。

 

母は山椒の葉っぱを『木の芽』と呼び

春になるといろいろな木の新芽が芽吹くのに

なぜ山椒だけを木の芽というのか

かいちゃんは不思議に思っていた。

 

木の芽を煮物や吸い物にのせるときは

手のひらにのせておいて もう片方の手で

パン!と音をさせて叩く。

 

こうしなければ香りがでないのだと母は言い、

面白いのでパンパン音を鳴らして

お手伝いをした かいちゃんの手は

お風呂に入るまで山椒の匂いがした。



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