その48 「散髪屋さん」

散髪屋さんの店名は『理容おおなろ』だった。

 

近所のお店は「肉のいしい」とか「いけうち商店」とか

よくある名前が付いていたから、

「『おおなろ』ってヘンな苗字」と思っていた。

 

散髪屋さんはちょっと不思議なところだった。

 

お店の人がお医者さんのような服を着ている。

 

太い皮のベルトのようなものが壁に掛かっていて、

時々カミソリでそれをひゅんひゅんと撫ぜる。

 

白くて四角い陶器のコップに筆のようなものを入れて

しゃかしゃか掻きまわすと白い泡がむくむくと出てくる。

 

極めつけは店の前にある円柱型の看板で、

赤と青の帯が下から上へ、くねくねと上ってゆく。

 

「あれは赤と青と白の三色なのだ」と姉が言ったが、

かいちゃんにはどうしても

赤と青の二色だけが動いているように見えた。



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