その73 「ひさご」

母のすぐ下の弟は淡路島でお寿司屋さんをやっていた。

 

店の名前は『ひさご』と言い、

のれんに 瓢箪(ひょうたん)の絵が描いてあった。

 

店はカウンターと小上がりがあって

叔父がひとりで切り盛りしていた。

奥の部屋では叔母が寿司飯を作っていた。

 

直径1メートルもあるような飯切(はんぎり)に

白いつやつやのご飯がいっぱい入っていて

合わせた酢をしゃもじで振りかけ、ご飯を切るように混ぜる。

 

裏の戸を開けたとたんに酢の匂いがあふれ出し、

店の中に入ると息が苦しいほどであった。

 

大阪に帰る前の日は

特別にカウンターでお寿司を握ってもらった。

 

”寿司飯”のことを”しゃり” とか、

”しょうが”のことを”がり” とか、

”ひょうたん”のことを ”ひさご” とか言うのは

おとなっぽくて素敵だと かいちゃんは満足していた。



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