郵便配達員の長男・司と三男・学は毎日同じ町を巡っている。
次男の隼人だけは田園都市線で通勤し時々出張で外に出る。
近所に住んでいた松井くんはお母さんを残してドイツで結婚している。
美しい朝倉さんは坂の上に着く幼稚園バスにヒロシ君を迎えに来る。
朝倉さん家の家政婦の安藤さんは四角い顔をしていて
これはもう片桐はいりさん以外の誰でもないという感じ。
登場人物の距離が近づいたり離れたり。
ふわふわと床をただよう冬の家の中のほこりのように
やさしくて少しわずらわしい人のつながり。
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悪夢のような記憶から逃れようとするのか
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母親はジャパニーズのコンサートに行こうとしている。
娘は「ぷにょぷにょ」グッズを貰うためクドクナルドに行かねばならない。
しかし愛犬ピナ・バウシュが今夜にも出産しそうだから
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トムの居なくなった家を葬儀社の男が訪れる。
出てきた母親は娘のローラはベッドで寝ていると言う。
帰りかけた男が忘れた帽子を取りに戻ると
女はローラだと名乗り、母親はベッドで寝ていると言う。
ローラはガラスの動物に砂を降り積もらせながら弟の帰りを待っている。
母親とローラ、二人の人格を交錯させながら、
ローラは三年前にヒソ入りのワインを母親に飲ませたと告白する。
男はトムが死んだこと、もう待つことはないと告げて消える。
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のけものは「除け者」の意味なのか?
アポロ11号が月へ降りた日、
ボクサーのアポロ獣一はデビュー戦であばら骨を一本失う。
サーカス団には月の兎。月の兎は伝説の病を持っている。
人が獣にとりつく伝染病。人が犬にとりつけば伏。
人が象にとりつけば像。人の為と書いて偽。
月へ向かうアポロ11号に逆行して太古に遡る船には
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常軌を逸した自罰的行動で職を失い、画家への道を歩み始める。
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2010年頃から始まった沖縄の売春街の「浄化」運動。
著者は戦後をさかのぼると共に、この街で生きた人への取材を重ね、
「もうひとつの沖縄」の姿を浮き彫りにしてゆく。
脚本の中で1945年8月15日を「終戦」と書いたとき、
「終戦ではない。敗戦だ!」と言われたことがある。
上演後のアンケートだったから無責任な放言のように感じてしまったが、
しだいにその意味が分かってきた。
爆撃が終わっても憎しみや暴力はすぐに終わるものではないということ。
戦争は人間の尊厳を破壊してしまうということ。
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「妻と子供が四人」と答えたところからカンボジアの飢えた子供のこと、
パレスチナ難民援助協会の受付女性の結婚、アイバンクへの登録、
遺体の献体まで話はどんどん進んで行く。
男1人、女1人の会話劇。
仮定や質問が決定事項にすり替えられていくパターン。
ささやかな悪意を持った女性と、いつのまにか自分を見失う男性。
人はこんなふうに騙されていくんだな。
]]>そのままならずっと幸せにやっていけたはずなのに
ひとりの男の出現がわずかな歪みを大きくしてゆく。
人を殺めた過去を背負う誠実で清潔な男。
ささやかな秘密と嘘と真実と偶然の積み重ね。
故意か事故なのか10才の娘は障害の残るケガを負い、男は消える。
8年後にやってきた青年は男の息子だと言い、
無垢な真実は家族をどこまでも追い詰めてしまう。
誰でもが持っている人としての不条理。
悪意でもなく善意でもない嘘や真実。
歪みはじめた家は小石がはねたほどの衝撃で崩壊する。
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気まぐれにイヴを付き人にして目をかけるマーゴだが
しだいにイヴは劇作家や演劇評論家に取り入り
マーゴを陥れて女優への階段を駆け上ってゆく。
マーゴ役のベティ・デイビスがすごい存在感。
画面に映ったただけで大女優の役だと分かるし
メイクしたときの美しさと、疲れた素顔のギャップが
映画全体のリアリティをガシッと支えている。
観おわってから「あれ?モノクロだったんだ⁉」と
自分の目が信じられないほど頭の中は総天然色であった。
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BC級戦犯として収容されていた日本人と元日本人だった朝鮮人の物語。
誰が戦争を始めたのか。誰が人を殺させたのか。誰が同胞を殴ったのか。
在日韓国人の集まる焼肉ドラゴン。
戦争で片腕を失くした店主と後妻と親の違う三人姉妹、
店主と妻の間に生まれた息子は中学校でいじめられている。
万博を控えた整備事業で店は立ち退きを迫られ、
娘たちは愛に悩み、男たちは差別に怒り、哀しみが交錯する。
それぞれが声高にわめきながら生きて行く中、
言葉を失った中学生の息子は死を選ぶ。
最後のシーン、
亭主のひく リヤカーにどかっと座り込む妻の姿が
それでも生きてゆく人間の強さを感じさせてくれて感動!
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屋敷に招き入れて毒入りのワインを勧め天国に旅立たせている。
同居する甥のテディは自分をルーズベルト大統領と信じ
地下室にパナマ運河を掘って死体を埋葬している。
叔母たちの秘密を知った甥モーティマーは
テディを施設に入れて犯罪を隠そうと奮闘するが、
脱獄した殺人犯の甥ジョナサンが突然屋敷にやってくる。
叔母たちと自分の殺した人数はどちらも12人。
対抗意識を燃やしたジョナサンはモーティマーを殺そうとする。
]]>男たちは祭りの神輿をかつぎに出払っている。
母親ヒロコ、姑タマエ、次女キョウコ
キョウコの男友達の娘マオ(11才)
前夜、東京から酔っぱらって帰ってきた長女ミドリ
さらに東京からキョウコの娘ユリア(20才)が帰ってくる。
こどもを産む、産まないという話題が軽妙に展開しながら、
家、世間、仕事、恋愛、時代、いろいろな問題が見え隠れする。
6人の女性のキャラクターと関係性がしっかりしていると
こんなにも戯曲は面白く書けるのか!
2008年岸田國士戯曲賞受賞作
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