その196 「きゅうりの苦み出し」

姉が二人いたので、かいちゃんは

ほとんど台所を手伝わなかった。

 

それではまずいと思ったのか母は

食事のときに料理の手順を話して聞かせた。

 

きゅうりの苦み出しの話などは

何度聞いたか分からない。

 

「つるのほうを5ミリほど切って

切り口と切り口をぐりぐりこすり合わせると

きゅうりの苦みが抜ける」と母は言う。

 

そんなことであんなに長細いきゅうりの

全体の苦みが抜けるものだろうかと

かいちゃんは疑う。

 

しかし異論を唱えると

「ほんなら やってみ!」と言われるので

いつも「ふーん」と生返事をしていた。

 

少し大きくなって、きゅうりを切るくらいのことは

手伝うようになってからは

無意識に切り口をぐりぐりするようになったので

母の教育は正しかったと言えよう。



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