その186 「りんごのすりおろし」

風邪をひいて熱を出すと

『りんごのすりおろし』が食べられる。

 

元気なときは おろしてなどくれないし

一度自分でやってみたことがあるが

病気のときに感じるほど美味しいとは思わなかった。

 

りんごはすぐに茶色く変色してしまうので

食べる直前におろさなければならない。

 

熱でうつらうつらしている かいちゃんが

ふと目が覚めたときに食べさせるために

母は ずっと様子を見ていたのだろう。

 

すりおろしたりんごは甘くて冷たくて

喉が痛くても するんと体の中に入る。

 

八年前に逝った下の姉はホスピスで

母のすりおろしたりんごを食べていた。

 

親より先に逝くのは この上ない親不孝だし

哀しいことだとは分かっているが、

母が作ってくれたものを食べて

目を閉じることができた姉を

羨ましいようにも思ってしまう。



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