その183 「バスの車掌さん」

小さい頃、バスには車掌さんが乗っていた。

 

車掌さんは女の人で紺色の制服と制帽を被って

お腹のところに大きな黒いがま口を下げている。

 

扉はバスの中腹に付いていて、バスが停まると

車掌さんが中から扉を開けてくれる。

 

二段になった階段を上ってバスに乗るのだが

1段の高さがとても高いので 

ちっこい かいちゃんは階段を上ることが面白い。

 

母がごそごそと財布からお金を出して

「どこどこまで」と車掌さんに告げると

「〇〇円です」と言いながら切符をくれる。

 

かいちゃんは乗車賃が要らないのだが

母の切符を持たせてもらう。

「失くしたらあかんで」と言われるので

必要以上にぎゅっと親指と人差し指に力を入れる。

 

バスは がたがたと走るが

車掌さんはずっと扉のそばに立ったままで

「次は〇〇でーす」とか

「発車オーラーイ」と 歌うように言う。

 

小学校に入ってまもなく

バスはワンマンカーに代わったので

かいちゃんが車掌さんから切符を買ったことはない。



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