その174「お年玉」

冬休みが終わって三学期の話題は

『お年玉をいくら貰ったか』だった。

 

お年玉は『玉』というわりに

硬貨ではなく紙幣で貰うのが通常で

ぽち袋にぺらんと一枚、三つに畳んで入っている。

 

紙幣には百円と五百円と千円があって

もしかしたら五千円と一万円もあったかもしれないが

かいちゃんたちの世界では見たことはなかった。

 

かいちゃんの家のあたりは新興住宅地だったが

小学校の近くには古くからの農家が多くて

そういうところは親類縁者が固まって住んでいる。

 

特定郵便局の跡取り息子は

両手の指を折って数えて

「1万2千円」と言って皆を驚かせた。

 

せいぜい3千円くらいしか貰えなかった皆は

しきりに彼のことを羨ましがったが、

「そやけど俺なんか、大きくなったら郵便局員って

決まってんねんで。好きな夢を見れるほうがええわ」

と彼がニヒルに言い放ったので

お年玉の話はそこで途切れた。

 

小学校5年生の始業式の日だったと

はっきりと記憶している。



calendar

S M T W T F S
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< May 2018 >>

selected entries

categories

archives

profile

お問い合わせ

search this site.

others

mobile

qrcode

manage