その173「お屠蘇」

父も母もお酒を飲まない人だったのだが

料理用として家には日本酒が置いてあった。

 

元日にはそれを少しだけ『お屠蘇』に使う。

 

「本当のお屠蘇は味醂に薬草を入れたものだ」 と

毎年、母がそう言いながらお酒を徳利に移す。

 

土瓶に湯を沸かして蓋を取って徳利を浸ける。

「これを『お燗』という」と また母が言う。

 

お燗をするときは 杉の割り箸を

徳利の酒の中に差し込んでおく。

「杉の香りでお酒が美味しくなるのだ」と

これも母の毎年の台詞である。

 

元日の朝 みんなの盃に父がお酒を注ぎ

全員で飲む真似をして

「あけましておめでとうございます」と言う。

 

誰も飲まないのに 杉の香りをつけても

意味が無いではないかと

かいちゃんは毎年 そう思った。

 

余談だが、一度

間違えてお酢を燗してしまったことがあった。

徳利を洗うときまで誰も気づかなかった。



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