その139 「運動会とぜんざい」

かいちゃんは運動会が嫌いであった。

 

駆けっこは遅いし、逆上がりはできないし

跳び箱もとべない子が運動会を好きなわけがない。

 

勉強ができない子のことを「あほ!」と言うのは

してはいけないことと戒められていたが、

運動の苦手な子を「どんくさい!」と言うのは

先生も容認していたきらいがある。

 

学校全体を紅白に分けるために

クラスの半分が赤組、半分が白組になる。

運動のできない子は同じ組になった子たちから

「あーあ」と言われるのである。

 

逆に、徒競走で6人ずつの組に分けられた時には

同じ組になった子から「やった!」と喜ばれる。

『どべ(びり)はこの子で確定やな』という意味である。

 

何週間も前から入場行進の練習をするのも

運動会当日、出番が少なくて暇なのも嫌だった。

 

かいちゃんの小学校は運動会の日でも給食があって、

恒例のメニューが『ぜんざい』であったことだけが

唯一のなぐさめだったと云えよう。



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