その136 「台風と断水」

台風で断水したことを鮮明に憶えている。

 

「給水車が来たよー」と近所の人が声をかけて回って、

玄関を出てみると家の前の空き地に

小型のタンクローリーのような自動車が停まっていた。

 

姉たちがいたかどうかは憶えていないのだが、

母がバケツを持って水を貰いに行こうとしている。

 

少しでもたくさん欲しいから

ちっちゃな かいちゃんも『やかん』を持たされた。

 

暴風雨は去ったあとだが まだ雨が降っているので

両手が使えるように黄色い雨合羽を着せられた。

 

タンクの横っ腹の下のほうに蛇口があって

じゃぼじゃぼと水が流れ出ている。

 

いちいち蛇口を閉めたりしないで

「はい、次!」「はい、次」というように

バケツだの鍋だのに 係りの人が水を入れていく。

地面にこぼれる水がひどくもったいなく思えた。

 

やかんに入れて貰った水を

こぼさないように持って帰ろうと努力したが

歩くたびに口からじょびじょび あふれてしまって

かいちゃんは自分の非力さを 情けないと思った。



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