その109 「はむえっぐ」

淡路島に住む祖母はまったく田舎の人で

ハムもチーズも知らなかった。

 

一度だけ祖母に「ハムエッグが食べたい」

と言ったことがある。

 

「そら いったい どないなもんや?」と言うので

ハムの上に目玉焼きが乗っているのだと答えると

集落に一軒だけある”なんでも屋” に連れて行ってくれた。

 

「ハムとかいうもん 置いてるか?」と祖母は訊く。

「これがハムやで」と店のおばあさんが薄切りのハムをくれた。

 

祖母は 目玉焼きは焼いたことがあるらしく

小さなフライパンに油を引いてタマゴを割って乗せた。

 

なんだか順番が違うような気がしたが

よく分からないので黙って見ていたら

その上に丸い薄切りハムをべたっと乗せた。

 

それだとハムが焼けない と抗議すると

祖母はフライ返しでぺろんと目玉焼きをひっくり返した。

 

ぺちゃんこになったハムと玉子の重ね焼きのようなものを

「ハムエッグっちゅうのはハイカラなもんやなあ」と

祖母は感心しながら皿に乗せてくれたが

「二度と料理の注文はするまい」と かいちゃんは心に誓った。



calendar

S M T W T F S
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< October 2017 >>

selected entries

categories

archives

profile

お問い合わせ

search this site.

others

mobile

qrcode

manage