その104 「ぬか床」

夏になると母は必ず ぬか漬けを漬けていた。

 

台所の木の床が はめ込み式になっていて

そこを開けると赤茶色の甕(カメ)がある。

 

夏の初めに糠を買ってきて塩と混ぜて甕に入れる。

キュウリに粗塩(あらじお)を手で擦り込んで

糠の中にぎゅうぎゅうと押し込む。

 

キュウリから出た水で糠はしっとりとしてくる。

毎朝毎晩、糠に手を突っ込んで上下を混ぜると

適度に発酵してきて美味しいぬか床ができる。

 

ぬか床はキュウリを入れるごとに

だんだん水気が多くなってくるので

母はスポンジに水を吸わせて調整していた。

 

水分があまりに多くなったときには

空になったマヨネーズのチューブに

千枚通しでぷつぷつ穴を開けてぬか床に沈めた。

 

こうすると水だけがチューブの底に溜まるのだが、

かいちゃんには なんだか手品のように思えた。



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