その101 「屋上遊園地」

百貨店の屋上には小さな遊園地があった。

 

十円を入れると動く乗り物もあったが

その場でカタカタと揺れるだけなので

そんなのは ”こどもだましだ” と思っていた。

 

四角い箱の上部に覗き窓が付いているものがあって

お金を入れると幻燈のように 中の絵が動くのが見える。

かいちゃんはこれが好きだった。

 

箱の上のほうが斜めになっていて

そこに双眼鏡のような黒い覗き口が付いているのだが

背の低い子用に踏み台が置いてある。

 

ちっちゃい かいちゃんは踏み台に乗っても足りなくて

一生懸命 背伸びをして覗いた。

 

時間が来るとカチャンとお金の落ちるような音がして

覗き窓が真っ暗になる。

続きを見たければ更に十円を追加しなければならない。

 

カチャンという音で ふいにお話が途切れるのは

あまりにも意地悪だと憤慨しながら

ベンチで待っている母のところに十円を貰いに走るのだ。



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