その94 「でんでん虫」

庭の紫陽花の葉っぱの裏には でんでん虫がいた。

 

雨が降っている時には外に遊びに出ないから

晴れたときに見つけた でんでん虫は

すっぽりと殻にひきこもっている。

 

つのだせ やりだせ 目玉だせ〜という歌があるので

殻から出てくるところを見たいと かいちゃんは思った。

 

雨が降っていると出てくると聞いたので

台所にいる母のところにバケツを持って行って

水を入れてもらった。

 

砂遊び用のじょうろで水をちょろちょろかけてみたが

いっこうに出てくる気配がない。

 

もっと大量の水が必要なのでは、と思うと同時に

既に玄関の横が水びたしになってきたので

こんなことをしていては母に叱られると思った。

 

かいちゃんは水の残ったバケツにでんでん虫を放り込んだ。

こうすれば大雨だと思って出てくると考えたのだ。

 

そのまま遊びに行ってしまった かいちゃんが

帰ってみるとバケツは片付けられていて、

母も かいちゃんもでんでん虫のことについては

あえてふれようとはしなかった。



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