その83 「嫁とり 婿とり」

「嫁とり 婿とり やれ忙しや」という呪文があった。

 

出かけようとして 服のボタンが取れかけていたり、

ほころびているのを見つけてしまった時、

脱いでいる時間が惜しいので この呪文を使う。

 

母が針と糸を取り出して

「嫁とり 婿とり やれ忙しや」と言いながら

かいちゃんの服の”ほころび”にぷすりと針を刺す。

 

つまり『忙しいから脱いでいられないの』 という言い訳であり、

『だから針が刺さらないように守ってくださいね』

というお祈りなのである。

 

服を着たままちくちく縫ってもらうのは

ちょっとしたスリルでもあるが、

母が絶対に間違って刺したりしないだろう

という安心感もあって、

かいちゃんはこの呪文を聞くのが好きだった。



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