その79 「サンダルと石鹸」

町内のプールから水滴をぽたぽた垂らしながら

水着にサンダルでぺたぺた歩いていた かいちゃんは

思わぬ災禍に見舞われた。

 

ビニールのサンダルの2センチ幅のヒモの部分が

にゅるんと足の甲のところまで来てしまった。

つまり足が奥まで入ってしまったのだ。

 

いててて、と思いながら家まで慌てて帰ったが

足が鬱血してきてヒモがいよいよ食い込んできた。

 

半泣きになりながら母に見せると

母も慌てて脱がそうとしてくれたが

ずんずん足がむくんで、もはやどうにもならない。

 

「ヒモを切るしかない」と母が言う。

ピンク色のビニールのサンダルは安物かもしれないが

かいちゃんのお気に入りのプール行きアイテムであった。

 

痛さと情けなさでべそべそ泣きだしたら

母がいきなり石鹸と洗面器を持って来た。

手で石鹸を泡立て、かいちゃんの足とサンダルに塗る。

と、つるりんと足がサンダルから抜けた。

 

母は「ほらね!」と自慢げに言ったが

「もっと早く気付いてほしかった」と

紫色になった足をさすりながら かいちゃんは思った。



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