その76 「ネコ分け」

天衣無縫の”やえちゃん” は母の一番下の妹だが

幼い頃に母親が亡くなったために

兄弟姉妹に育てられたようなものらしい。

 

歌うことが好きで観光バスのガイドさんになり、

お給料をためらうことなくお洒落や遊びに使い、

映画や喫茶店に連れて行ってくれたりした。

 

やえちゃんには変なクセがあって、

食べ物を必ず 最後に少しだけ残す。

 

お茶碗の底には必ずご飯が残っているし

トーストもふたくち分くらいお皿に置いてある。

 

かき氷はぜいたくに

”いちごに練乳をかけたやつ” と注文するくせに

最後まで食べないので 赤と白のマーブル模様の水が

容れものの中にちゃぷちゃぷ残っている。

 

姉や兄たちから「あんたはいつも『ネコ分け』をする」

と叱られて慌てて食べるのだが

まったく気にせず同じことをくり返すところを

かいちゃんは ひそかに尊敬していた。



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