その66 「真夏のサンタ」

母方の祖父母は淡路島の海沿いの村に住んでいた。

 

天井板が無く屋根の丸太が直に見える古民家で、

隣に牛小屋だったのではないかと思う広い物置があって

湿気たような肥料のような埃っぽい匂いがした。

 

この物置にサンタクロースの人形が山積みになっていた。

いつも仏壇にお経をあげている祖母が

なぜこんなものを持っているのか不審であった。

 

祖母にたずねると「サンタだあ」と言う。

島の言葉は語尾に「だあ」と付くのである。

 

サンタの胴体は赤い色に塗られていて

腰の部分に金色のモールを貼り付けるのが

祖母の内職なのであった。

 

祖父母の家に行くのは”夏”と決まっていたから、

クリスマスに間に合わせれば良かったのだろう。

 

季節はずれの、しかもこんな田舎の物置で

サンタクロースは製造されているのかと、

かいちゃんは不思議な気持ちになった。



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