その62 「トースター」
家で食パンをトーストするときは
ガスコンロに餅焼き網を乗せて焼いていた。
格子状の焼き目がついて
香ばしいというより焦げくさかったが、
まあそんなものだと思っていた。
叔母の家に泊まりに行った日の朝、
たぶん生まれて初めてトースターを見た。
四角い箱の上部に食パンが二枚入る口があって、
そのままだと半分しか入らないのだが
横のレバーを下げるとパンがすっぽり隠れてしまう。
いい匂いがしてくるのを待ってレバーを上げると
きれいなキツネ色になった食パンが現れる。
なんと素敵で便利なものだ!と
かいちゃんは感動したのだが、
出し忘れると真っ黒こげになってしまうという
悲しい欠点があることにも気付いた。