その58 「シュークリーム」

上の姉が社会人になるまでは

ケーキを食べられるのはクリスマスか誕生日だったが、

唯一の例外は『ヒロタのシュークリーム』であった。

 

かいちゃんが風邪をひいて熱をだした時、

その時だけ父が『ヒロタのシュークリーム』を

会社帰りに買ってきてくれた。

 

16個か20個入りの白い紙箱は4センチ位の厚さで、

細いリボンがタテヨコ十文字にかかっていて

中心を輪っかにして、ぶら下げるようになっていた。

 

仕切りというほどの仕切りはなかったから

不注意に傾けるとシュークリームが片寄ってしまう。

几帳面な父は水平になるよう 慎重に提げてきたのだろう。

 

父の「ただいま」という声に

布団から飛び起きて玄関に走っていった憶えがあるので、

かいちゃんの風邪が治りかけたのを見計らって

買ってきてくれていたのだと思う。



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