その84 「バイエル」

幼稚園の年長さんになった頃

シスターがピアノを教えてくれることになった。

 

ピアノの入門と言えば「赤いバイエル」である。

音楽の才能があったのか、この本をあっというまに修了し

勢いに乗って「黄色いバイエル」に突入した時

すっとばしたツケがまわってきた。

 

”半拍” が弾けなかったのである。

 

優しいシスターは一生懸命になって

肩をトン・ト・トンと叩いたり、

手で拍子を打つ練習をさせようとしたが無駄であった。

 

体ではなく理解力に訴えようとしたシスターは

黄色いバイエルのページの空白にリンゴの絵を描いた。

その横に半分に切ったリンゴの絵を描いてくれた。

 

音の長さとリンゴにどういう関連があるのか、

かいちゃんは今度こそ本当に分からなくなった。

 

地道な努力を苦手とする かいちゃんは、

”ピアノをやめたいのはリンゴのせいだ” と

妙な言い訳をして母にあきれられた。



calendar

S M T W T F S
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< May 2017 >>

selected entries

categories

archives

profile

お問い合わせ

search this site.

others

mobile

qrcode

manage