「ぼくらが非情の大河をくだる時」 清水邦夫

1974年に「熱海殺人事件」と共に岸田戯曲賞を受賞した戯曲。

ああ、こういう戯曲を読む力が無いことが哀しい……。

とにかく題名がカッコイイと思ったんだけれど、

いきなり舞台が都内の公衆便所である。
そうだ、これはちょうど新宿に出た時の、
見覚えのある風景と見たことのない風景が混在していて、
おろおろと手掛かりになる看板を探す、あの感じである。

JUGEMテーマ:読書感想文


「トゥモロー・ボックス」 アン・チスレット

旧世代の、関白亭主と堅実な農家の主婦。

新しい感覚の息子夫婦とフェミニストの女性弁護士。

60才にして自立を思い立つ主婦とふてくされる亭主。

 

カナダの小さな農村に劇場を建て、

分かりやすく面白いお芝居を書いたアン・チスレット。

トレーラーハウスの中で繰り広げられる軽快なコメディ。

 

JUGEMテーマ:読書感想文


「もっと泣いてよフラッパー」 串田和美

ブレヒトの「三文オペラ」を空想のシカゴに放り込んで、

キューピットにエナジードリンク飲ませて
めっちゃやたら矢を打ってハートマークを乱造して、
ジャズと踊り子とギャングとアルコールと
トランク・ジルとボクサーと皇太子と新聞屋と、
ついでにおもちゃ箱の中身をぶちまけたら、
こんな音楽劇ができるのかなあと、そういう感じ…。

JUGEMテーマ:読書感想文


「雨の夏、三十人のジュリエットが還ってきた」 清水邦夫

太平洋戦争に突入する時代に設立された石楠花少女歌劇団。

空襲を生きのびた風吹景子は消息不明の弥生俊を待ち続ける。

年老いても少女のような景子をナイトのように守る男たち。

夜の百貨店でロミオとジュリエットの幕が上がる。

 

もうこの題名だけで「素晴らしいぞ、この脚本!」と震える。

宝塚歌劇を彷彿とさせる設定だけれど舞台は北陸の地方都市。

1982年のキャストは淡島千景さん、汀夏子さん、甲にしきさんなので

やっぱり宝塚なんですわ。

 

JUGEMテーマ:読書感想文

 


「枯木灘」 中上健次

『紀州サーガ』と呼ばれる秋幸(あきよし)三部作の真ん中。

入り組んだ血のつながりの中でまっすぐに生きる秋幸は

愛も優しさも畏れも、人としての感情を豊かに持って成長する。

『あの男』の息子であるという他人の目、父への憎悪と憧憬、

自分を殺しに来る義兄の記憶は反復され、

26歳の秋幸は腹違いの弟を殺す。

 

神の視点なのかカメラの視点なのか

句読点のない文章はトリックのように時間をずらし

埃っぽい町の俯瞰と人の心の奥底とを同時に描き出す。

 

JUGEMテーマ:読書感想文

 


「温室」 ハロルド・ピンター

病院なのか刑務所なのか、どこかの収容施設。

所長と職員らしき人々は、はたして本当に職員なのか?

四桁の番号で呼ばれる収容者たちは

ひとりの職員を残して所長と職員を殺してしまう。

生き残ったのは下級職員と収容者たち。

殺したのは本当に収容者なのか?

 

温室に入るといつも奇妙な気分になるのは

温度や湿度の匂いと、音がどこにも抜けて行かないせいだ。

この戯曲が「温室」と名付けられていることに納得する。

 

JUGEMテーマ:読書感想文


「一丁目ぞめき」 赤堀雅秋

2012年3月。大震災から一年後。

父の葬儀に参列するため二十年ぶりに帰って来た兄。

家業のスーパーマーケットを継いだ弟。

いとこ夫婦と近所の電気屋と葬儀屋と姿を見せない母親。

 

足元が揺れているような震災後の空気感。

その家の人にしか分からない家屋に染みついた匂いが

訪問者の顔をそむけさせるような戯曲。

 

JUGEMテーマ:読書感想文



calendar

S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
<< August 2019 >>

selected entries

categories

archives

profile

お問い合わせ

search this site.

others

mobile

qrcode

manage