その161 「すべり台」

とても悲しくて怖かったことなので

今でもはっきりと覚えているのだが

ペンダントを首にかけていた男の子が

すべり台で遊んでいて亡くなってしまった。

どこか遠いところの子だったと思う。

 

なまじ、しっかりした紐だったので

ひっかかっても切れてしまわなかったらしい。

 

新聞やテレビで大騒ぎになり

学校でも先生から注意を受けた。

 

その時ペンダントを持っていたのか

持っていなかったのかは定かではないのだが

母が血相を変えて かいちゃんの宝物をチェックし

かいちゃんも恐ろしくて

『ペンダントなんていらない』と強く思った。

 

しばらくは すべり台で遊ぶのも恐ろしかったが

そのうちになんとなく ほとぼりは冷めていった。

 

かいちゃんたちはまた すべり台で遊び始めたが

危険なものを身に着けていないかどうかを

互いに確認するようになった。


その160 「ペンダント」

宇宙少年の中では『ソラン』が一番好きで

オープニングの歌をテレビに合わせて

大きな声で歌っていた。

 

パピイもエースもペンダントをしていて

ソランも歌の中では

♪ むねにかがやく ひみつのペンダント〜♪

と言っているのだが

ソランのしているのはペンダントではない。

ベルトのバックルのようなものである。

 

ソランのテーマソングのせいで

なんだか宝石のように きらきらしていて

身につけるものをペンダントというのだと

かいちゃんは誤って理解してしまった。

 

ずいぶんたってから

ぶら下げるようになったのが『ペンダント』で

ぶら下げないものは『ブローチ』

ひもだけのものは『ネックレス』だと知った。

 

更に ペンダントの中に写真を入れられる物のことを

『ロケット』というと姉から教えられて

かいちゃんの頭は混乱した。


その159 「宇宙少年ペンダント」

かいちゃんが小学校にあがった頃

立て続けに テレビに宇宙少年が登場した。

 

パピイもエースもソランも

なぜかペンダントを持っていて

それが無いと能力が発揮できなかったり

極秘情報が隠されていたりした。

スポンサーという言葉は知らなかったが

テーマソングの最後に

♪グリコ グリコ〜とか ♪藤沢薬品〜とか

提供企業の名前がひっついていた。

 

どのキャラクターだったのか忘れたが

お菓子会社がスポンサーだったのだろう

ガムを買うとペンダントが当たる、というのがあった。

 

ペンダントの裏側がバネ仕掛けになっていて

十円玉を入れられるようになっている。

青い丸い形でキャラクターの顔が付いていた。

 

当たらないと貰えないのだが

結構みんな持っていたように思う。

 

かいちゃんが手に入れたかどうかは忘れたが

欲しくてたまらなかったことを憶えている。


その158 「円盤」

公園にある球体の遊具で

ぐるぐる回るやつを『円盤』と呼んでいた。

 

考えてみればまったく円盤ではないのだが

『空飛ぶ円盤』というのが流行っていて

中には宇宙人が乗っているはずだったので

同じようなものだと認識していたのだろう。

 

ジャングルジムのように鉄の棒で組んであるのだが

一カ所が入口のようになっていて

中には座れるように板が敷いてある。

 

ままごとをする時には『家』になり

中でお菓子を食べたりすることもあった。

 

もちろんぐるぐる回して遊ぶ物であるが

中に乗っている子と 外で回す役とがあって

外側で棒を掴んでぐるぐる走って勢いが付いたら

足を地面から離して側面にぶら下がる。

 

そのまま惰性で回り続けて自然に止まるのを待つ。

止まりかけては追加して回すこともある。

 

ぐるぐる回ったあとは

吐きそうなほど胸が悪くなるのだが

どうしてあれを楽しいと思っていたのか

今になっては謎である。


その157 「シーソー」

公園の遊具は鉄と木が組み合わさっていて、

例えばブランコの座るところは木で

支柱や鎖は鉄で出来ている。

 

シーソーも板の部分は木で

真ん中の支柱や 取っ手のところは鉄である。

 

木はよく ささくれだっていて

手にとげが刺さったりしてやっかいだが

鉄の部分は冬には氷のように冷たくなって

手に はあはあ息を吐きかけながらでないと

かじかんで痛くなってしまう。

 

雨ざらしのブランコの鎖は

全体に赤っぽい茶色に錆びているが

子供が触る範囲は錆が付かず黒光りしていて

握った手のひらは鉄の匂いがした。

 

近所の公園には ひとりで行くか

時折りは姉も一緒に行ってくれたが

シーソーは重さの釣り合う二人でなければ

遊ぶことができないので

「年の近いきょうだいがいればいいなあ」と

かいちゃんは横目で眺めるばかりだった。


その156 「毛糸のパンツ」

タイツは太ももまでなので お尻のあたりが寒い。

そういうときは毛糸のパンツを履かされた。

 

セーターを編んだ余り毛糸だとか

ほどいた毛糸の 痩せた部分は捨ててしまって

”いいとこ取り”をしたもので 母が編んでくれる。

 

外から見えるものではないからと

色がだんだらだったり 婆くさかったりする。

 

編み物の得意な母は本を見たりせずに

ちょちょいと編み上げてくれて

サイズはぴったりではあるのだが

およそ格好のいいものとは言えなかった。

 

幼稚園児なりの美意識で

あまり履きたくないなあとは思うのだが、

すべり台やブランコに乗るときには やはり

あったかくて重宝なものであった。


その155 「タイツ」

寒くなってくると

女の子はみんな白いタイツを履いた。

 

タイツは脚の付け根まで来る長さの

よく伸びる素材のものだったが

そのままだと ずり落ちてくるので

太ももにゴムバンドをはめる。

 

ゴムバンドは1センチか2センチ幅の

茶色い輪ゴムの親玉のようなやつである。

 

ゴムバンドがきついとタイツは ずり落ちないが

だんだん痒くなってくるので

位置を少しずらしたりする。

 

脚の下のほうに はめるほどゆるくなる訳だが

そうすると走ったり遊んだりしているうちに

タイツがずり落ちてきて

ゴムバンドだけが太ももに残ったりする。

 

小学校の2、3年生になると、どんなに寒くても

タイツを履くのはカッコ悪い という風潮ができて

スカートに短いソックスだけを履いていた。

 

男の子は半ズボンだったし

子どもなりの心意気だったのだろうか。



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